「おかしい………?」
一体何が、全部がおかしい?
澪の言葉が頭の中で渦巻く。
いつも澪は遠回しに言う。
核心に触れずやきもきしてしまうが澪の言葉に真実を見出すこともある。
だから、澪の言葉は否定できない。
怒りを抱いても根本的なところから拒絶できないのだ。
認めたくなくても、僅かでも澪の言葉が片隅に残ってしまう。
「………美空、」
俺は、今は夢の中にいるだろう美空を思う。
なぁ、美空。
お前は何かを隠しているのか。信じたいのに澪の言葉が引っかかる。
時折、無意識だろうが美空の表情が一瞬掻き消えることがある。
それはほんの一瞬で気付くことのほうが難しいだろう。
「………疑いたくは、ない」
しかし、俺は、僅かに、疑心を抱いてしまった。
一番己が必要とする人間を