「お主は、親父さんそっくりじゃのぉ」
「?山じぃ?」
「自分をそんなに責めんでも」
悔やんだところで時間は戻らない。
この子が怪我をした事実も変わらない。
「前、よりもこれからじゃろうに」
また溜め息をつくと山じぃは、荷物を抱えて立ち上がった。それから、また何かあれば呼んでくれと帰っていった。
「これから……か」
確かに過ぎた時間の事を悔やんでも何も始まらない。これから、どうするかだ。
「………今度こそ」
俺は、眠る美空を真っ直ぐ見下ろす。
今度こそ、拐われるような事態にはさせない。傷も負わせない。
護ってみせる。
「………美空」
「ん………」
まるで俺の呼び掛けに答えるかのように、美空はゆっくりと目を覚ました。