「しかし、念のために病院に来てもらった方がいいかもしれないのぉ」
大事ないと言われて安心したが、山じぃの言う通りにした方がいいと思った。
だが、とりあえずホッと息をはく。
それから山じぃは、慣れた手つきで負傷している箇所を治療していった。
「とりあえず、見えるところは治療したわい」
「………すまない」
山じぃは、片付けながらこれが儂の仕事じゃから気にするなと言う。
「じゃが、まだこんな若い娘に、これ程の傷はちと危ない」
「………」
男ならまだしも美空はまだ高校生の、しかも女だ。これ以上の怪我は命に関わることにもなりかねない。
「それだけは、分かっての」
「………分かっている」
山じぃの言葉は深く突き刺さった。
山じぃは、俺を横目で見て、軽く溜め息をついた。