しかし、声に力は無く、今にも気を失ってしまいそうなくらいに弱々しい。
「話は、帰ってから聞くから……今は、何も喋るな」
「………っ、今、聞きた……」
美空は重たい腕を持ち上げて、俺の服を今出る限りの力で掴む。
歩きながら美空を見下ろすと、何かを訴えるような目をする美空。
「美空?」
「ど……し、て……」
「?」
「………、………」
声を出す力もなくなった美空は、僅かに唇を動かしてから気を失ってしまった。
読唇術を習得している訳ではなかったので何て言おうとしていたのか、解らなかった。
―――――どうして、貴方は………そんなにイイ人なの?………貴方は……貴方は、
あたしの両親を殺したのに。