そして、炯を見ると、しっかりと頷いた。
「………いいだろう。くれてやる」
『!本当に?』
「あぁ、美空を返せ」
低い声で言うと、相手は高笑いをした。
『ハハハッいーよ返す。ありがたくちょーだいします』
「チッ貴様は絶対に殺す」
『待ってるよ。じゃあ、高天場の倉庫にいるから』
そう言って相手は一方的に電話を切った。
「どうでした」
「交渉成立だ……高天場の倉庫に向かえ」
俺は運転手に指示してから携帯を畳む。
「………良かったのか」
「仕方ありません。美空さんが人質なんですから」
「だが、神賀は、」
「そうですね。………ですが若は、すぐには応じず悩んだ」
それだけで十分ですよ。
奴等も、喜んでいます。
それに、と炯は続ける。