「………美空は、どこにいる」
『簡単に教えるわけないじゃん』
何のために連れ出したのか分からないじゃない。
相手の言葉に俺は、心の中で舌打ちをした。
「何が目的だ」
『流石分かってらっしゃる………分かるだろ?』
「…………」
『オタクのシマの一つを譲ってよ』
………やっぱりか。
来栖の支配下にあるシマは沢山ある。
他が喉から手が出るほどに欲しい土地も来栖にはある。
シマを簡単に引き渡す馬鹿野郎はいない。一つのシマを支配下に置くのに労力と犠牲を払っているのだから。
しかし………俺は、唇を噛んだ。
シマと美空を天秤にかけるまでもない。
『神賀、が欲しいんだけどさぁ』
神賀。数あるシマの中であまり有効利用をされたことのない場所だ。
相手はそんなとこに価値を見いだしているのか………