刹那、俺のポケットに入っていた携帯が振動した。
取り出すと、和也からの着信。
「俺だ」
『若っすみませんっ』
「………何があった」
切羽詰まったような声に自然と緊張感を持つ。
『お嬢が……!!』
「!!美空がどうした!?」
思わず声を荒げると、疾風が肩を震わせた。
『授業が終わり、迎えにいったのですが、姿が見当たらないんですっ』
荷物は置いてあったのでトイレかと思って待っていたが待てど暮らせど美空は戻ってこない。心配になって探すと何処にもおらず、靴箱を見ると靴がなくなっていたと言う。
「っ探せ!!直ぐに!!」
『はいっ』
俺は、慌ただしく電話を切ると運転手に叫んだ。
「今すぐ美空の学校に迎えっ」
「は、はいっ」
車が急発進する。
俺は、舌打ちをすると車のドアを握りこぶしで叩きつけた。