「龍さん」
「?」
「朝にあんな話してあれなんだけど………」
言いにくそうに美空はおずおずと上目遣いに見上げてくる。
「………いつまで、徹夜するつもりだ?」
「とりあえず、来週一杯……テストだし」
ごめんなさいと手を合わせて謝ってくる。テストなら仕方がない。徹夜も出来ればやらせたくないが………きっと言っても聞かないだろうな。
はぁ、と小さく溜め息をついた。
「………桜の間を使え。一応美空の部屋にしているから」
「!ありがとう!!」
美空は、心底嬉しそうに笑うと俺に抱きついてきた。それを受け止めて俺は美空の頭を撫でた。
「無理するなよ」
「うん………挽回してやる」
密かな闘争心を燃やしながら俺の腕の中で拳を握りしめる美空を俺は目元を和ませて見下ろしていた。