「………何、だと?」
俺は耳を疑った。
「捕まえてたホステスですが……自殺しました」
言いにくそうに目の前の男は視線をずらす。
死んだだと?
「どういうことですか」
炯が男に問い掛ける。
「どうやら、捕まえる前に毒か何かを飲んでいたみたいで………」
「効き目の遅い毒ですか………」
はぁ、と炯は溜め息をついた。
「何故毒を持っていた?」
「………分かりません」
おかしい、と思った。
密売がバレたら危ないのは分かっていたはずだ。
誰かに唆された?
それか、密売人が?
「生かして置いたらいけない理由でもあったのですかね?」
「………さぁな」
「ホステスが死んだんじゃ、密売人しかいないですよ」