頼りの綱の炯は電話中だ。
「………龍さん?」
「あ、あぁ」
「どうしたの」
首を傾ける美空に俺は何でもないと首を振る。
それから、他愛もない話をしていると、車がゆっくりと止まった。
着いたようだ。
「つきましたね」
炯の合図で和也と優斗は先に車から下りた。
「お嬢」
「じゃあ、行ってくるね」
「あぁ」
「お仕事頑張って」
車から下りた美空はヒラヒラと手を振り、和也がドアを閉めた。
二人に促されるまま歩き出した美空の背中を見送ってから俺は、運転席に向かって声を出す。
「出せ」
ゆっくりと車が走り出す。
「…………女は確保しました」
「密売人は」
「探している最中です」