「………そうだな」


裏の世界の俺達は、存在だけで恐怖の対象だ。
外見だけで、もしくは肩書きだけで判断される。
仕方ないことだとはわかっていても俺達だった心ある人間だ。
痛みは生まれる。


そんな中、美空は……美空だけは違ったんだ。


「美空だけが……ちゃんと見てくれた」

「若」

「美空は失えない。……護れ」

「………はい」


二人は、しっかりと頷いた。


それから数分してから美空は荷物を持って戻ってきた。
鞄と、別にパソコンの入った鞄も。


俺は、美空が来たのを確認すると立ち上がり炯を呼ぶ。


「準備出来ましたか」

「あぁ、行くぞ」


歩き出すと、和也と優斗がそれぞれ美空の荷物に手を差し出す。