「龍さん?」
「話はそれくらいにして、もうそろそろ時間だ」
「あ、ほんとだ」
俺に言われて時計を見た美空は、じゃあ、鞄持ってくると立ち上がる。
「荷物持ってここに戻ってくれば良い」
「はーい」
元気よく返事をした美空は、パタパタと小走りに廊下を走っていった。
こらっお嬢!廊下は走らない!と今では美空の教育係のようになってる賢の怒る声が聞こえてきて苦笑を誘う。
「………若」
「なんだ」
美空がいなくなった部屋で、和也がポツリと言葉を溢した。
「お嬢は、不思議な方ですね」
「………初めて見ましたよ、あんな方」
優斗も呟く。