「じゃあ、私、帰るね!」
「………あぁ、」
「ちゃんと病院行かなきゃ駄目だよ?」
俺の肩を見ながら言うので素直に頷くと、少女は満足そうに俺に背中を向ける。
「………あ、」
「?」
「………名前、なんて言うんだ?」
とっさに呼び止めてしまった。
このまま、背中を向けられて二度と会えないのか、と思うと呼び止めずに居られなかった。
少女は、キョトンとすると、言ってなかったっけ?と首を傾けた。
「私は、美空!桐生 美空って言うの。お兄さんは?」
「………龍。来栖 龍。」
「龍さんね!じゃあね」
お大事にっと去っていく美空の背中を俺は何時までも見送っていた。