苦しみでベリルの腕にしがみつく。

「報いは受けねばならぬ」

 無表情に、ベリルは言い捨てた。

 ナイフを引き抜くと、弟王の体はピクリとも動かなくなった。

「……ベリル殿」
「あなたが手をかけるべきではない」

 言いながらナイフを仕舞う。衛兵たちは慌てて弟王の遺体を玉座から降ろした。

「丁重に扱ってやってくれ」

 ジェイドは言って、玉座の前に立つ。

「……」

 目の前の戦士たちを見回し、深々と頭を下げた。

「礼を言う。私のためにしてくれた事」
「王様がやめてくれよ」

 テイシンが照れたように頭をかく。そしてジェイドはベリルに目を移し、

「お前と出会わなければ、私はここに戻る事は出来なかったやもしれぬ」

 それに、ベリルは黙って小さく頭を下げ一度目を閉じた。