全員が玉座の前に来ると、ひざまづく。

「今日は何用であるか。討伐に貢献したおぬしたちだから、こうして会いもしようが」

 面倒な。と、いう表情を全面に押しだし王は口を開いた。

「王に是非、会ってもらいたい人物がおります」

 ベリルは丁寧だが、いささか挑戦的な物言いをした。

 それに、国王はピクリと眉を動かす。

 ジェイドは立ち上がり、被っていたフードをゆっくりと脱いだ。

「!? なっ……そ、んな馬鹿なっ」

 国王はその姿に酷く狼狽(ろうばい)した。

 ジェイドはそんな国王に数歩、歩み寄り険しい目を向ける。

「その席、返してもらうぞ」
「あ、兄上……これはっそのっ」

 そこにいた王の側近と錬金術師たちは動けずに、対峙する同じ顔を見つめた。

「よくも、私を謀(たばか)ってくれたな弟よ」

 10年前、双子の弟である彼は王の座にいた兄を暗殺しようとした。

 それに気付いたジェイドは、あと一歩の処で難を逃れ小さな村で身を潜めていた。