──スコープで見た子どもは栗色の髪を肩まで伸ばした少女で、かなり怯えていた。

 おそらくは十歳未満だろう。

 家族とはぐれたのだろうか、一刻も早く助け出さなければ。

「まずいな」

 戦火は確実に広がっている。

 仲間が戦ってくれているおかげか敵に出会うことがなく、スコープで確認した少女がいた場所はもうすぐだ。

 瓦礫を避けながら周囲を回し、少女の姿を捉えて駆け寄る。

 少女は確認した場所から少しも動いてはいなかった。

[ひっ!?]

 ベリルの影に小さく叫び、体を強ばらせる。

 淡いピンクのワンピースは薄汚れ、あちこちが破れて足や腕には幾つも擦り傷と切り傷がついている。

 ベリルは少女を怖がらせないようにと笑みを浮かべ、ゆっくりとしゃがみ込んで胸のリボンを結び直した。