それでも微々たるもので、敵と間違えて撃たれても文句は言うなと暗に示されていた。

 今に始まったことでもない返答に、カイルたちが躊躇うことはない。

 当初、弟子になりたての頃は連れてきてはもらえなかった戦場に一年が経ち、ようやく戦力として加わっている。

 今回は特に重要な位置を任された。

 全体の指揮を行うのはカイルだが、ベリルはその補佐的な役割にある。

 何度目かの戦場に、カイルは任せられると判断してのことだ。

 鍛えた体は引き締まり、整った顔立ちに相応しく全体の美しさをこれでもかと伝えている。

 もちろん、本人にその自覚はあまり見られない。

 元々、戦闘の知識があったベリルだが、それだけで傭兵として成り立つものではない。

 弟子をとらないカイルが弟子をとった事と、ベリルの的確な行動とその戦闘センスとが仲間たちの注目を集めていた。