にっちもさっちもいかず苛ついている仲間に、ベリルは前方を見やり自分の小銃に目を移す。

「セミオートなら」

 ベリルはつぶやいて、怪訝な顔をしているカイルを見つめると、

「肩を貸してもらえますか」

「おい?」

 眉を寄せるカイルの左肩に銃身を据えると、左目で照準を合わせた。

「お前、左利きなのか?」

「両利きです」

 一、二度深く呼吸して引鉄(ひきがね)を絞る。

「当たったぞ」

 双眼鏡で覗いていた仲間が倒れた敵を確認する。

「ここで牽制(けんせい)します。その間に建物へ」

 そうは言っても、子どもである彼を一人、残していく訳にはいかない。

 仲間たちはどうしたものかと顔を見合わせた。

「俺がついている」

 カイルの言葉に仲間たちは互いに頷いて建物に向かって走った。

「やるじゃないか」

「いえ。手過ぎた真似をしました」