「こいつがいなかったら、俺たちも同じ目に?」

<負傷者はキャンプに戻れ。他は続行だ>

「了解した」

 ヘッドセットから聞こえたジャンの声にリッキーが答え、仲間たちは無言で頷く。

 トラップを解除し、再び建物に向かって足を進めた。

 カイルは後ろからついてくるベリルを一瞥し、恐れることもなく、さらにトラッブに気がつく度胸は大したものだと驚嘆する。

 焦らずに向かっていると、地面に弾丸の当たる音と同時に小さな土煙が舞った。

「止まれ」

 ケインの声に仲間たちは一斉に出っ張っている地面を探して姿勢を低くした。

 右側に伏せたカイルはベリルの袖をグイと引っ張り自分の所へ引き寄せる。

「他の場所でも始まってるな」

 ヘッドセットから聞こえてくる音にリッキーは苦い表情を浮かべる。

 カイルたちは敵の攻撃に、建物まで十メートルほどの所で立ち往生していた。

「止まねえな」

「わざとずらして撃ってやがる」