「そうですね。」


急に静まり返り、風と名の知らぬ鳥が羽ばたく音が不気味に響いた。


「あのさ…」


やっと口を開いた恭平がアリスに吃り(ども)ながらも真実を打ち明けようとしてた。


『がんばれ』


思ってる言葉が声になってるのすら気づかないほど、恭平の言動に集中してた。
ただ、頑張れって言うことしか出来ないけど、これが終わればアリスと恭平は昔以上に仲良くなれる、そんな気がする。
それこそ、本当の友達に。


「俺、アリスに言わなきゃ、って思ってた事があるんだ。」


「はい。」


「俺…やっぱり兄貴にはなれないや。
覚えてないかも知れないけど…俺…、紅平じゃなくて恭平なんだ。
黙ってて、嘘付いててごめん!!」


頭を下げ謝る恭平に、アリスは笑顔で許すと言った。
そして、紅平じゃない事に気づいてた事を打ち明けた。逆に驚く恭平に、思わず笑いそうになった。


「そうだったんだ…
実はさ、まだ言わなきゃいけない事があるんだ…」


言うのか、紅平の事。
いずれ知ると分かってはいても、残酷過ぎる。
いつになく真剣な顔で、アリスを見る恭平を黙って見守った。