『だな。』


「でも、一つ心配な事が…」


『なに?』


「私が陸の家を出たら、陸は眠れなくなってしまうんじゃないかって。」


『…はあ~?』


葵の言葉に力が抜け、間抜けすぎる声が出た。


「だって…」


『そん時は俺が寝付くまで添い寝、してくれんだろ?』


頬を赤く染め、虫の息のような返事を返してきた葵の頭を、ポンポンと優しく撫でた。


「き、恭平さんとアリスさん探さなきゃ!」


動揺しまくりな葵は、急ぎ足で俺を抜き去った。


『あんまり急ぐと転ぶぞ!?』


俺の忠告にも笑顔で大丈夫と答えた葵は、そのすぐあと足を滑らせた。


『だから言ったのに…』


葵の元に駆け寄り、転んだままキョトンとしてる葵の横にしゃがんだ。


『立てるか?』


「はい…。」


『服、汚れちゃったな』


「あ…、大丈夫です!!」


汚れた服を見て落ち込んでるくせに、気丈に振る舞う葵に優しく声を掛けた。


『全然大丈夫じゃないだろ?』


「………。」


『痛い所ない?』


コクリと頷く葵。
やっぱ元気ないな。