「ハァ…」


うなだれてる兎木が可哀想に思えてきた。
始終見ていた騎馬よると、俺と恭平が話してる間中ずっと言い争っていたらしい。
その争いに幕を閉じたのは、意外にもアリスの方だったんだとか。
 突然「もういいわ。兎木になにを言っても無駄だと言うことが、よーく分かりました。
もう私の前に顔を見せないでちょうだい!!」
そう捲し立て、恭平と居なくなった。ドラマみたいな展開だな…


─しばらくその場で兎木の様子を見てると、騎馬に自分が兎木の側に付いてるから、二人を探して来て欲しいと言われ、戸惑いながらその場を離れた。


「騎馬さんだけに任せて良かったんでしょうか?」


『んー、本人が大丈夫って言ってるからな。
それより、どこ行ったんだろ?』


枝分かれした道の真ん中に立ち、二人が行きそうな方向はどこかを考えた。


「陸、気づいたんですけど…」


『なに?』


「ケータイにかければ、すぐに見つかるんじゃないんですか?」


『あ…確かに! でも、俺が電話して二人に合流したら、恭平、本当の事言えないままになっちゃう』


それじゃせっかくのチャンスが水の泡だ。
葵に悪いと思いながらも、入り組んだ森の方を先に探す事にした。