葵の後ろ姿を見ながら、消えた温もりを惜しむように、ポケットの中で拳を作った。
─数分後、戻って来た葵は、口元に笑みを浮かべ「お待たせ致しました。」と俺のポケットに手を入れた。


「…─おや、騒がしくなりましたね。」


騎馬の言葉に見ると、アリスと執事が言い合ってるのが見えた。
それを見て微笑む葵は、俺にも同じ笑顔を向けた。


『なにしたの?』


「お手洗いでガールズトークしてきただけですよ?」


『ガールズトーク?』


訳が解らないまま3人の元へ向かうと、状況に付いていけてない恭平が1人、遠巻きに二人を眺めてた。
アリスと兎木の話に耳を傾けると、どうしてそうなるんだろうって程くだらない事だった。


「だから、喉が渇いたから飲み物を買ってきてって言ってるじゃない!!」


「ですから、今持って来させると申しているじゃごさいませんか。」


「兎木は、私に来るまで待て。とそう言いたいのね?」


「いえ、ですからすぐ」


「すぐなんて言ってるこの時間で、あなたが買いに行けたじゃない!!
私に逆らうって言うの?!」


「とんでもない!!そんな…」