「うーん、地味だなぁ」

クローゼットを開いて、ぼくはため息を吐いた。
「もう、これでいいや」

早く着替えて、サミアに会いに行こう。

鏡に映った自分は、忘れることにした。

あんな姿の人間、ぼくじゃない。

忘れて、サミアの所に行こう。
見えてしまうから、髪も整えたし、歯も念入りに磨いた。

だから、サミアに嫌われませんように。