ビルから出た途端、雨が降り出した。

彼氏いない暦2年。
カオリは我が家へと歩みの速度を早めた。

駅までなんとか行けると急いだが、
ものの200メートルも行かないうちに、
本降りになってしまった。

慌てて飛びこんだのがCDショップの軒先。

大手ではなく、こじんまりとした店だ。

すでに同じような雨宿りで立て込んでいる。

いち早く店員が軒先の雑誌類の上に広げた透明ビニールの上にも、点々と雨垂れがついていた。

雨宿りの男女の濡れた衣服や髪の毛から、
ケモノの匂いが立ち昇り、

それが女たちの香水や、
男たちの整髪料の匂いと混じって、
ほとんど耐え難くなってくる。