ぎゅぅぅぅ~っと捕まれた鞄。



今にもこぼれそうな涙を溜めた目。



「泣きますよぉ?」

「面倒だからやめて」

「意味わかんないから…お話くらい…したいですぅ…」

「…………わかった、俺んちおいで」



トボトボ歩きながらポロポロ泣いて、白咲の歩いた後には涙の道しるべ。



周りにいないタイプで、扱いに困る。



家につき、部屋に入れてもおとなしいまま。



ティッシュで鼻を噛み、ふてくされたようにポイッとゴミ箱に投げ入れた。



カワイイ…。



「嫌いになったんですか…」

「別にそういうんじゃないけど」

「イヤだ。別れない。チューしてくれたもん…」

「えっ?」

「熱出た時、先輩…チューしたじゃん…」



気づいてたのか…。



でもアレはもう前の話。



「もうどうでもいいの、白咲のこと」

「あたしはよくないです。彼女、だもん…」

「仕方なくでしょ。だから別れんの」

「じゃあ…カラダだけでも…いいです…」



やめてくれ。