「おっかしいなぁ…。確かに入れておいたんだけど…」
バックからは、ポーチやら携帯やら女の子の必需品ばかりが、溢れ出ていた。
…と。
ひらり
冷たい廊下の床に一枚落ちた。
「…あったー!」
翠はそれに気付くと腰を折り、直ぐさま拾う。
…否、拾おうとした。
その一枚は何者かの手により、盗られたのだ。
「…」
翠は何故か、恐る恐る顔ごと腰を上げる。
「わわわわ!み、見ないで下さい!」
翠はソレをそんなにも見られたくないのか、その手から奪い取ろうとする。
長身の翠には楽々な高さだったはずだが、相手も身長が高かった。