「この筒の中に…」

ソウマは商品棚に置かれた緑色の短くて細いロウソクを、筒の中に入れた。

「ロウソクを入れまして」

次にロウソクの置かれていた棚の隣の棚から、マッチ箱を取る。

「火を付けます。そして匂いが香りだしたところで」

ソウマが右手を上げ、指を鳴らした。

すると店内は真っ暗闇に包まれた。

しかし…。

「…っ!? コレは!」

キシが驚いた顔で、周囲を見回した。

暗闇の店内にいたハズだった。

しかしいつの間にやら、森の中に三人はいた。

木々の匂いに、柔らかくもあたたかな風。

遠くからは鳥の鳴く声や、川の流れる音まで聞こえてくる。

木々の合間からもれる陽の光が、顔に当たり、眩しくて目を細めた。

「この効果はあくまでも、ロウソクに火が付いている状態でしか機能しません。火を消せば…」

ソウマが息で火を消した。