キシがイスに座り、籠を持って、ロウソクを選び始めた。

そこへ…。

「ただいま帰りました」

「ただいま」

「たっだいまぁ。あ~、調べ物って疲れる」

マミヤ、マカ、ヒミカの三人が店内に入ってきた。

「お帰りなさい! ヒミカ」

「うぎゃっ」

キシが早速、ヒミカに抱きつく。

「ソウマ、レモネードくれ」

「はいはい」

「あっ、コレ包むのか?」

「ああ、手伝ってくれよ。マミヤ」

各々動き出したところで、マカがロウソクに目をやる。

「…何か買うのか? キシ」

「もう購入を決めました。…あっ、そう言えば、マカさん。ソウマさんの片思いの相手って知っていますか?」

店の奥で何かが壊れる音が響いた。

「ソウマの? …まあ検討は付いているが、あえて言わない。プライバシーの問題になるからな」

「え~! マカは知ってんだ」

「知ってても何の得にもならんことだ。それよりとっとと仕事しろ」

そう言いながら、ソウマがいる店の奥へ行く。

呆然と立ち尽くしているソウマに、マカは微笑みかけた。

「貸し一つ、な?」

振り返ったソウマは、顔面蒼白ながらも、笑みを浮かべていた。