「いえ、ありませんよ。新任の先生がいらっしゃるんですか?」 私は苦しくて嘘を吐く。 「そうだよ。いいよね、若いって」 「…若いって、先生もまだお若いですよ?」 「…中村さんは優しいね?」 「何処がですか?」 「全部が。優しい中村さんにはこれをあげる」 先生が差し出したのは、ココア味のキャンディー。 「ありがとうございます」 私は満面の笑みを返す。