「さて、出てこいよ」


　人通りのある道から外れた陰気な路地裏。

　にぃ、口端を上げるガイ。彼と雀斑の少年は複数人の男に取り囲まれる。袋小路に追い詰められていく。

「ひぃ、ふぅ、みぃ……なんだ。今回は少ないんじゃねえか、俺を倒すにはよ」
「うるせえ！　そんな舐めた態度を取れるのも今のうちだぞ、ガイ＝トウゴウ！！」


　一人ずつ丁寧に指差し数えるガイを一蹴し、男達は各々、鉄パイプに角材、武器を取る。

　雀斑の少年はガイに隠れ、背中越しに彼らを挑発した。


「お、お前らごときがアニキに勝てる訳ないだろうがッ！」


　心強い兄貴分の影で怯えながら言う。もちろん彼らは大笑い。


「ギャハハハ、聞いたか？　泣き虫トニオの勇敢な声！」


　腹を抱えて笑う彼らにぐうの音も出ず悔しさに顔を歪める雀斑の少年、トニオ＝コレッツォ。

　彼に相対する男達は恐らく一人として勝てない。筋力的にも、そして――


「よっし、御託はその辺でいいだろう。まとめて掛かってきやがれ、雑魚共。俺の拳を教えてやる」