上司の去った一室で愚痴を零すフィニ。

 ある程度気が晴れたところで、先の窓から飛び降りる。高さは七、八メートルと言ったところか。常人ならばただではすまない高さ。

 フィニは腰から短剣を取り出し、赤煉瓦に突き刺す。短剣からは火花が散り壁をえぐる。止まりはしないが速さは格段に落ちる。

 そのままバロックや似たような煉瓦屋根を伝い、彼らの元へ直行。

 彼女もまた大分変わっているが、まともな神経の持ち主なら世界を、連邦を敵に回したりはしない。


(機甲人が操縦者を決めるなんてそんな馬鹿な仮説……、大体どうやって奴らの声を聞く? 奴らは所詮機械人形だぞ)


 フィニはガイを見つめる前のアレックスとの会話を思い出し、また彼女の誇らしげな嘲笑が頭に浮かぶ。

 それを掻き消しながら、楽な任務を開始した。