ユキが転校したらしいという噂はすぐに広まった。

ユキという彼女がいるから、僕に近づくことを遠慮していた女の子が何人か僕に声をかけてきた。

全く、僕にその気はない。今の僕はそれどころではない。

ユキ以外の何百人の人に愛されても意味がない。

今願うことは、ただひとつ・・・。



あれから、毎日電話をくれる。気を遣ってくれているのが伝わってきて、それがよけいに悲しかった。

何でも話せて何でも言い合えた僕らの間に、わずかな隙間が生まれていた。


病院だから、電話も3分くらいで終わる。

ユキが少しずつ遠くにいくような気がした。

ユキがいつ戻ってくるのかばかり考えていても仕方がない事はわかっているが、僕はこのままだとユキを失いそうで怖かった。

わかってはいるんだけど、心から笑えない日々が続く。