柚の手伝いが終わると、兄貴が俺に近づいてきた。


「俺、何もわかってなかった」


「ああ」


「蓮…負けだよ」


兄貴はボソッとつぶやいた。

当たり前やろ。


柚は笑顔で掃除をしている。
俺達は柚を見つめながら壁に寄り掛かって話をした。


「俺、大阪に戻ってあいつと話し合うよ」


「そーしろ。大変やったんだからな」


兄貴の腹を軽く殴った。
俺達は笑いあった。


久しぶりやな。っていうか、一緒に笑うってこと、一生できないと思ってた。