「あ、そういえばさぁ、今日不思議な子が相談室に来たんだぁ。」


「不思議な子?…もしかして男?」


亮司は複雑な顔をしていた。


今日は仕事終わりに、亮司と食事に来ている。

大学へ進学した亮司とは、亮司のバイトのない木曜日にこうして会っている。


「うん、そうだよ。なんで分かったの?」


「ん?あぁ、何となく…かな?で、なんで不思議なの?」


「それがさ、部屋入ってきたと思ったら突然、俺に見覚えないかとか言って、ないって言ったら名前だけ名乗って帰って行ったの。ほんと意味わかんない。」


話してるうちに少しずつ亮司の顔が曇っていき、

「……名前名乗ったの?なんて名前…?」


「亮司?どうしたの?なんか変だよ?その生徒なら別に心配しなくても、きっとわたしをからかいに来ただけだよ。ごめんね、こんな話して。」


そう言って笑ったけれど、それきり亮司は何か考えてる様で、いつもの亮司に戻ることはなかった。