「でも……悔しかったけど、カッコいいなって思った…。だって、なかなか出来ないことだろ?あれだけの人がいる中で、好きな女を攫っていくなんてさ…。」
暁……
匠先輩のこと…“カッコいい”って言ったよね…?
思ってもみなかった暁の言葉に、私は驚いてしまった。
「俺も、もっといい男にならねぇとな…。」
暁は、驚いて目をパチパチさせている私を見ながらニッコリと笑う。
頭にフンワリとのせられている手の温もりに、またも涙腺が緩んでいた。
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