たけるの鈍感さはときどき
はるかを怒らせてしまう
「はあちゃん?」
「...............」
はるかは無言で歩く
「はあちゃーん?」
「..............」
めげずに何度も呼ぶが
応答なし
「ちょ、はあちゃん!!」
はるかの歩く速度は
だんだんと早くなっていった
たけるは息を切らしながら
一生懸命ついていく
「はあちゃんごめ..『もういいよ』
はるかは何度目になるか分からない
たけるの言葉を遮るようにして応答した
少しだけそっぽを向いて
ぶっきらぼうに
吐き捨てたような言葉
「は、はあぢゃ~ん!!」
けれどもたけるははるかの応答の
嬉しさから目をうるうるさせた
まるで犬のようだ、
ちわわみたいな小型犬の、
とはるかは心の中で笑った
「も、いいよ。あたしもいじめすぎたし、ごめんね」
そして今度は心の中ではなく
しっかりとした笑顔だった