女性を安心させる為、
声を掛ける。


「もう大丈夫だ。」


彼女は血で濡れていたが、手首が切れている他は、怪我はないみたいだ。

服に付いている血は、彼女が抱えている女性のものだろう。


「貴方は、誰?」


この状況でも、凛とした声で彼女が聞いてきた。


「俺の事はどうでもいい・・。
 助けに来ただけだ。」


それだけ口にした。