絶望に耐えながら、そのまま
三日目の朝を迎えていた。

縛っている縄が少し緩んだ、と那智が小声で教えてくれた。

ひょっとしたら、逃げれるかもしれない。もうすぐ帰れる!
私達は期待に胸を膨らませた。


そう思った瞬間、言い争いながら男達が部屋に入って来た。

「甘いこと言ってんじゃねぇよ。
 コイツ等連れて、逃げんのか?
 コイツ等逃がしてチクったら
 どうすんだよっ!」

「でも、この人達は
 関係ない!」

「うるせぇ!!オレに口答え
 すんじゃねぇよ!!」


フードの男の怒声が響く。

思わず恐怖で震えてしまう。


「おれにだって言う
 権利があるだろっ!」

「オマエはだたオレのすること
 見てればいぃんだよっ!」

「もうお前について行けない!
 勝手にすればいい!
 おれもこの人達を逃がす
 からなっ!!」

「ふざけんじゃねぇ!!
 調子にのるなっ!!!」


二人は大声で言い合って、
次第にヒートアップしてきた。

だがいきなり、
部屋が慎と静まり返った。

声が止んだかと思うと、
いきなりドスっという
音と共に、男の一人が
崩れ落ちた。

フードの男が今まであった
染みとは違う、新しい血で
濡れている。

私は恐怖で
息をするのも忘れていた。