「もう泣くなって」
そう言ってあたしの目元をハンカチでゴシゴシ……。
「またメイクが崩れる!!」
擦られるあたしはそう言ってハンカチを取って瑞希を睨んだ。
「せっかく直したのに!もっと気遣って拭いてよ!」
そのせいで涙が引っ込んだあたしは、またメイクポーチを取り出して直し始めた。
瑞希は何考えてんのさ。
せっせと鏡を見つめながらメイクを直す。
するとあたしの前の席の椅子に座ってあたしの方に瑞希が向いた。
「それだけメイク直しすれば……うまくなるよね」
って誰のせいだよ!?
まだ午前中だっていうのに、メイク直し2回目って。
全部瑞希が雑に拭くからだよ。
それ以前に、あたしが泣くのがいけないのかもしんないけど。