頬を引っ張られる感覚がした。犯人なんて分かりきってる。



「全く、また王子のほう見てにやにやしちゃって。怖いわよ」


「えっ!」


「幸せそうじゃない」



 ………「幸せ」。


 幸せすぎてどうにかなってしまいそうだよ。



「幸せ一杯にはなりたいけど、一香みたいにはなりたくないわね」


「あーちゃん酷い…うぅ……」



 机にうつ伏せるあたしの頭を撫でるあーちゃんは、確実にあたしの事を子ども扱いしている。



 そんなこの瞬間もとても大切。