「一緒にご飯だって食べてるでしょ?王子のこと見てる人なら、誰だって気づくと思うんだけど」



 ……言われてみれば、だった。気づかれても全くおかしくない。


 言葉を失ったあたしは、しばし黙りこくって言うべきを探す。



「とにかく、やめておきなさい…」


「だめだよ」



 発した言葉は、自分自身が思っていたよりずっと強くて、驚いてしまった。


 それでも更に続ける。



「もしそういうのなら、尚更行かなきゃって思うし」



 彼女、だから。知られればその時点で、多少因縁をつけられても、仕方ないメンがあるのは知っていて。


 行かないなんて、出来ない。こんな形でも、どうしてかむげには出来ない。


 言い張るあたしに、向けられたのか分からない声。



「―――本当、馬鹿な子…」


「え?」



 小さすぎた呟きは、全然聞き取れなかった。


 心配そうな瞳も、見ずに。