「じゃ、じゃぁ何なのよ」



 あたしのあまりにも大きな反応に、あーちゃんは驚いた様子。いくら冗談とは言えど、ここまで否定されたらこのようなものだろうか。


 どうしてだろうか。答える事ができずに、あたしは言葉を濁す。



「……別、に」



 さらっとキスだなんて言えてしまうあーちゃんからしたら、ぬいぐるみなんて、大したことではないのではないか。


 そう思えてしまって、更に気持ちはしぼんでいく。



 どちらがどちらに釣られたのかは分からないけれど、別に、そう言った声も、同様に尻すぼまりで。


 ふと氷室君の方に視線を逃がせば、あの時のように、口元に人差し指。


 一瞬で騒ぎ出すあたしの心臓は、どれだけ馬鹿正直なのだろう。


 ほんの刹那繋がった視線は、一価、電子のやり取りを終えて離れる。


 その後も、この胸は、どうにも鳴り止まない。


 それを心地良いと感じてしまうあたしは、自分の想いを改めて、思い知らされる。