言葉に詰まりぼうと立っていたあたしの背後から、一つ声が掛かる。



「一香一香っ!おはよー、ねぇねぇちょっといい?」



 あーちゃんが、あたしの方へ手招き。それを見てあたしは、彼女の元へと小走りで進む。


 氷室君……土曜は、あれほどに感動的なサプライズをしてくれたというのに。


 ちなみにあのいるかのぬいぐるみには、普段は机の隣の棚に、可愛らしく寝そべってもらっている。


 普段は、と言うのは、寝る時には変態さながらに、抱き締めて寝ているから。


 他の人に話せば光速で距離を置かれそうな、気持ち悪い行動だけれど。


 どれもこれも、自分の想いゆえのことで。



 そこで唐突に思い出した、例の貯金。


 当初は二百円のつもりだったはずなのだけど、いつの間にやら半額になっていた。


 さて、どちらにするか。その迷いも一瞬で、謎の直感により、二百円貯金として実行する事に決定された。