ふと、自分がとても気が大きくなっているように思えて、心の中で立ち止まってみたけれど。


 今日くらい、許してもらえる。そんな気分になった。


 会場に着き、間もなくしてあたしは、氷室君へ話しかける。


 いまだ感じている小さな緊張をごまかすためだけでなく。少しでも、心として、近づきたくて。


 欲張りではないだろうか、一瞬よぎれど、それも言うなれば刹那。



「楽しみだねっ」


「……お前だけな」


「ひ、ひど!ひどい!」



 あたしは、氷室君と一緒というだけで、本当に何でも楽しくて、…幸せで。


 全てが新しいものになっていくようなこの感覚を、貴方は、理解してくれますか?


 いや、してくれなくても、それならあたしが教えてあげられたら。


 そんな大きな存在に、あたしでもなれますか―――?


 あぁやっぱり、今日のあたしはどこか大きくて。