視線を落として、不機嫌丸出しのあたし。それにも彼は、一切動じず。



「あっそ」



 気を抜かしてしまいそうな、素っ気無い反応。


 ……彼女、なのに。せっかく「彼女」になれたのに。


 なかなか思うようには行かない。



「そうだよ」



 そのまま拗ね続ける自分が、少し嫌いだ。


 冷たくされても可愛く甘えられるくらいの、もともとの可愛らしさと度胸が欲しくなる。


 食べ終われば彼はすぐに、教室へ戻ってしまう。


 あたしが食べ終わっていなくても、ごちそうさまとだけ言って、一人ででも。


 その後にあたしも教室へ着けば、すでにあの万年氷の障壁が、完備されているといった具合だ。


 一週間、ずっとその繰り返し。とうにあたしも覚えてしまった、このパターン。



 だけど、その万年氷をものともせずに話しかけていく人も、中には当然いるわけで。


 それに負けじと、あたしも行ってみるのだが。