「目…閉じて」



 言われるがままに、瞼で視界を塞ぐ。


 顔中の筋肉が強張っているのが、嫌でも分かる。


 突然速度を増した血流が、意識を少し薄くして。



 …でも。



 数秒経っても、何かが触れる気配は無く。



「…やっぱ、やめとく」



 聞こえてきた瞬間に少し遅れて、あたしは目を開ける。



「すげぇ固まってた。……まだ待つ」



 あたしの気持ちを考えてくれるのが。


 大切にしてくれているんだと、感じられるのが。



 すごくすごく、嬉しかった。