「……じゃぁ、あたしも言っていい?」



 伝えたい。今にも溢れ出そうな気持ちを。



「…あぁ」



 氷室君の顔の赤みが引かないうちに、あたしは言う。


 必要以上に大きく息を吸って、言う。



「氷室君が、好き」



 肺に殆ど空気が残ってしまうくらい、あまり大きな声ではなくて。


 それでも、割とはっきり聞こえる声で、言えた。



「随分さらっと…」



 そう言う氷室君の瞳を、あたしはもう一度見つめなおした。


 ねぇ、吐き出せなかったこの息に、気づいていないから。


 だから、そう思えるんだよ。


 悔しいから、絶対に教えないけれど。