必死にその動揺を出さないようにして、でも出てきてしまっている様子が、手に取るように分かってしまう。


　仕方なしに、あたしは氷室君から離れた。



　……その顔が、真っ赤で。



｢……好きだ｣



　愛し過ぎて、どうしようもないのだけど。



｢誰の、事が？｣


｢お前いい加減に……っ｣



　自分が、いつもと違っている気がする。


　正直、この状況をかなり楽しんでいて。


　心臓もだいぶ冷静になってきている。




｢――――――及川の事が、だよ｣




　……あぁ、もう。


　冷静になってきたはずの心臓が、またいつもの調子に戻ってしまった。