―――今、後ろから。



「え?」



 何かの音がした。


 反射的に、あたしは振り返る。



「だ、大丈夫ですかっ!?」



 その先にいたのは、倒れたおばあさん。


 腰をさすっているのが、少し離れていても分かる。



「あぁ…大丈夫ですよ」



 笑顔とともに、顔に深い皺を刻む。


 …その笑顔に既に、痛みが滲み出ていた。



「あの…本当に…大丈夫ですか?」



 見ていると、足を捻ったらしい様子をしていた。



「痛いようでしたら、病院まで送りますよ」


「……本当ですか?じゃぁ…お願いします…」